投資ぶっく >> マッチング拠出とは?拠出限度額・掛け金の上限
⇒マッチング拠出の基礎知識
⇒マッチング拠出制度の導入
⇒拠出限度額・掛け金の上限について
⇒マッチング拠出のメリット
⇒マッチング拠出のデメリット
⇒運用資金を拠出できない時はどうなる?
マッチング拠出とは、企業型確定拠出年金において企業が拠出する年金額だけでなく従業員個人が自分で準備した年金資金を上乗せして年金運用を行う事が出来る拠出制度の事です。
このマッチング拠出は2012年の確定拠出年金法の改正により実施された制度であり、比較的新しい制度であると言えます。
企業型確定拠出年金では、企業が個人口座を準備し掛け金を拠出し従業員はその掛け金を元手として資産運用を行う形となります。
しかし、マッチング拠出が可能となった事により、従業員個人が掛け金を上乗せして拠出する事でより大きな年金資産を運用する事が可能となります。
マッチング拠出の導入を検討する企業は企業型確定拠出年金規約にマッチング拠出に関わる規約を追記する事で導入が可能となります。
尚、マッチング拠出によって増額できる掛け金(拠出額)の金額は以下の通りです。
①企業が拠出する掛金額以内であること
②企業拠出分と従業員拠出分の合計が法定の拠出限度額以内であること
マッチング拠出は、まだ新しい制度でもあり掛金には幾つかの制約がなされております。
まず、現行のマッチング拠出制度では、従業員本人の掛金が事業主掛金を超えてはいけない決まりとなっております。
この取決めは、勤めている企業によって掛金に大きな差異が生じる可能性があるため、今後の改正が期待されている課題点でもあります。
自分が勤めている会社の「事業主掛金」が少額である場合は、従業員個人のマッチング拠出金額も大きな制限を受ける可能性があるという意味です。
尚、確定給付型の年金制度を導入していない企業の拠出限度額は51,000円となっており、確定給付型の年金制度を導入している企業の拠出限度額は25,500円です。
その為、個人のマッチング拠出の拠出限度額は企業負担分を超えないことが条件となっている為、確定給付型の年金制度がない場合は25,500円、ある場合は12,750円となっております。
【マッチング拠出の拠出限度額】 | ||
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企業年金の種類 | 拠出限度額 (月額) | マッチング拠出限度額 (月額) |
確定給付型年金制度 なし | 51,000円 | 25,500円 |
確定給付型年金制度 あり | 25,500円 | 12,750円 |
マッチング拠出の最大のメリットは、掛金全額が所得控除の対象となる点です。
仮に毎月2万円マッチング拠出として掛け金を拠出した場合は、年間で24万円もの所得控除が得られる計算となります。
これは各種控除適用後の課税所得が400万円の世帯の場合、所得税・住民税を合わせて年間7万円程度の節税効果が期待できる計算となります。
年間数万円の節税効果であっても掛金を拠出できる60歳までの年齢を考慮するとこの控除額の積み立ても大きな金額となります。
また積極的な運用を行い、例えば運用先を「投資信託」や「外国株式」を主体に構成し、利益が出た場合、その利益に対しても税金がかかりません。
個人で投資信託や株式売買を行った場合は、年間の売却益や利息、配当金、収益分配金に対して最大20%の税金が課税されます。
しかし、マッチング拠出を活用した資産運用では「税制優遇措置」が図られている為、これらの収益金に対する税金が非課税となっているのです。
その為、マッチング拠出制度は個人で積極的に年金資産の運用を計りたい方にとっては大変有利な制度であると考える事ができます。
【マッチング拠出のメリット】
①掛金全額が所得控除の対象
②資産運用に伴う売却益・利息・配当金・収益分配金は全て非課税
マッチング拠出の最大のデメリットは、拠出した資金が原則60歳まで帰ってこない点です。
これはマッチング拠出というよりも確定拠出年金制度そのもののデメリットでもあり、公的年金のように老後まで受け取る事が出来ない資産である点を必ず把握しておくことが重要です。
民間の積み立て型の生命保険などでは資産形成を行いながら、いざ資金不足に陥ってしまった場合は最後の手段として契約を解約し「解約返戻金」を受け取る事が可能です。
しかしマッチング拠出で拠出した掛け金は、途中で引き出すことはできませんので、自己資金の中でも生活に支障の出ない余裕資金で掛け金を準備することが大切であると言えます。
マッチング拠出を申請し、資産運用を始めたが数年後、個人的な事情などによって運用資金を拠出できなくなってしまった場合はどうなるのでしょうか?
この場合は、毎月のマッチング拠出の掛金をゼロ円とする事で対応する事が可能です。
マッチング拠出の掛け金の変更は原則一年単位で年に1回の変更が可能です。
しかし、どうしても掛金が拠出できない場合は、一時的に拠出を停止しゼロ円とする事が認められているのです。
但し、前項でも解説した通り生命保険契約のように解約はできません。
マッチング拠出制度では、苦しい月は拠出を停止し、また余裕が出てきたら掛け金を元に戻すことができる安全性も考慮された仕組みとなっている点を事前に覚えておきましょう。