投資ぶっく >> アベノミクスによる年金運用益の影響
⇒アベノミクスによる年金の運用益は過去最大
⇒国内株式の運用が大きな成果をもたらす
⇒アベノミクスは確かに年金運用益に影響を与えたが
⇒日本が抱える少子高齢化社会問題
アベノミクス効果により急激な円安と株価の上昇を果たした平成25年(2013年)は年金資産の運用でも大きな変化が見られました。
厚生年金と国民年金の積立金を運用しているGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)は同年7月に11兆円強の年金運用益を報告し、平成25年度が終えた段階で約20兆円弱の運用益を達成したと政府が発表しております。
これらは、一般的に広く言われているアベノミクスによる効果であるかどうかについては様々な見解がありますが、年金積立資産も取り崩し額を上回った為、積立額が増額する結果となっております。
平成25年度のGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)の年金運用では国内株式市場の大幅な上昇に伴い、年金運用資産のポートフォリオも国内株式の比率を高めている事がわかります。
GPIFは運用方針でも示している通り、基本的に株式市場ではインデックスを指標とするパッシブ運用が主体です。
これは株式市場自体が価格の乱高下を伴う不安定要素が高い市場でもある為、不景気の時には国債などの国内債券への比率が高くなる為です。
しかし、景気の上昇が見られる場面では安全性の高い国内債券よりも大きなリターンを見込める株式への比率を高める事で大きな運用益を得られる可能性が高くなります。
平成25年度のアベノミクスによる年金運用益もまた、アクティブ運用とまではいきませんが国内株式からの利益が大きな比率を占めている事からも年金資産の運用に一定の成果をもたらした事がわかります。
平成25年度のアベノミクス効果は確かに年金資産にプラスの影響を与えたようです。
しかし、日本の年金制度は度重なる支給条件の変更と国民への納付額の増額によってかろうじて維持している制度であることも事実です。
これは日本国債発行額が国内GDPの200%に達している唯一の国であることからも明らかです。
今後は世界的にひとつたりとも事例のないレベルの少子高齢化時代へ進む事が確定しているのが我が国日本です。
全く事例のない状況を予測する事は難しく、決して日本の未来が明るいとは言えません。
ですから、一時的な運用益に一喜一憂せずに既に破綻している年金制度の根本的な改革が必要である点に変わりはありません。
総務省は日本の少子高齢化社会の予測として、2060年には2.5人に一人が65歳以上となる事を予想しております。
そして、かつて1億2千万人の人口を誇る国であった日本ですが、2060年には8600万人にまで減少すると言われております。
生産年齢人口として数えられる15歳~64歳の割合は年々低下し、一人の生産年齢人口で一人の高齢者を支える時代となるのです。
しかし、この生産年齢人口の年齢の定義とされている15歳~64歳という年齢にも疑問が残る方も多いはずです。
グローバル化が進む世の中で15歳や60歳以上の労働者が世界の若者世代と同等に戦えるとも思えません。
実際はもっと深刻であるとの見方が大半でしょう。
消費税の増税や年金などの社会保障費の負担が年々増加している若年層世代を考慮すると総務省が予測する出生率は幼稚な推測にも思えます。
以前、日本の少子化についてこのような話を耳にした事があります。
40年~50年後の日本…
とあるバスの乗客25人の顔ぶれを見てみると、20人は40歳以上(うち10人は65歳以上)、残り5人は40歳以下(うち乳幼児は1人程度)の顔ぶれが日本の日常である。
想像してみるとやや恐ろしい光景ですが、過去に事例のないレベルの高齢化社会とはこのようなイメージとさほど遠くないのかもしれません。